カサブランカの利雪栽培(2001.5.21)

時は4月上旬。鍋倉高原にある飯山国営農場の、梨元農園のカサブランカの畑はまだ4メートル以上の雪で覆われています。この下には、昨年春植えられ、一シーズン養成されたカサブランカの球根が眠っています。
昨年秋に、ライスセンターで稲のモミガラをもらって袋詰めしたものを畑の脇に積んでおきました。その数、約千。
これを掘り出し、畑の上に並べます。

モミガラを均一にばら撒き、風で飛ばないように寒冷紗でおおい、周りに重しをします。

さて、これが完成図。5~6人がかりでたっぷり2日がかりの大仕事です。
モミガラはなかに空気を大量に含むため、保温性が非常に高く、これで雪が7月まで消えずに残ってしまうのです。また、雪が消えてからも、地温が低く保たれるほか、土壌水分も蒸発しにくくなり、ユリの発生、発育に好適な条件を作り出します。

さて、これが5月下旬の畑の様子。周りの雪はとっくに消えてしまったのに、まだ
2.5mの高さに雪が残っています。
通常、ユリを抑制栽培するには、前年秋に球根を堀りあげ、ピートモスでパッキングして冷蔵庫でマイナスの温度で冷凍保存し、適時植え付けていきます。もちろん、それはそれで品質の良いユリを生産することは可能なのですが、自然の状態での抑制栽培には敵いません。少し雪山から外れてしまったところからは、物干し竿のような太さの芽が顔を出しています。茎が柔らかくなりやすいカサブランカでも、木のようにがっちりして十輪以上の花が着いた最高の品物がここから生まれるのです。